ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、「ソフトランディング」シナリオが予想される場合、貴金属の需要は横ばいになると予想している。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が9回の引き締めサイクルで2回しかソフトランディングを成功させていないことを考えると、景気後退はまだあり得ない話ではないとしている。
ワールド・ゴールド・カウンシル、様々なシナリオにおける金需要を調査
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、来年の金市場の可能な動きを調査した、2024年ゴールド・アウトルックレポートを発表しました。同機関によると、今後の成長予測から市場が期待する最も可能性の高いシナリオは、米国経済の「ソフトランディング」であり、連邦準備制度理事会(FRB)が同国経済の衰退を引き起こすことなくインフレ率を低下させることができると予測している。
投資家は歴史的に債券や株式を好んできたため、このシナリオでは金は好まれないだろう。しかし、ソフトランディングは予想されているとはいえ、まだ確実ではない。リポートによれば、FRBの9回の引き締めサイクルのうち7回が景気後退に至っていることを考えれば、景気後退はまだあり得ない話ではない。労働市場の状況はここ数ヶ月でかなり悪化しているため、労働市場の動向は重要である。
このような状況の中、WGCは、市場が「安全への逃避」アプローチをとることで、金投資家にとって有利な結果がもたらされると予測している。同レポートは次のように述べている:
景気後退が現実のものとなった場合、成長率の低下はインフレ率を中央銀行の目標に押し戻すのに役立つだろう。このような環境は、歴史的に質の高い国債や金にとってプラスの環境を生み出してきた。
加えて、戦争、紛争、選挙、そして過去2年間に歴史的にエスカレートした中央銀行によるトレンド以上の金購入など、地球上で起きている地政学的な出来事も、2024年の投資資産としての金のパフォーマンスを押し上げるかもしれない。